インプラント
投稿日:2017年1月24日
カテゴリ:インプラント
先週ある患者様からの質問が有りました。
内容は小さい時から歯が悪く、頻繁に歯医者に通い下の前歯以外全ての歯の神経を取って差し歯であるとのこと、現在56歳でレントゲンを撮影してみると、歯根破折の歯がなんと4本、上下の奥歯は全てブリッジ。
他の歯は殆んどが根尖病巣有り、、、
何故こんな風になるのか、、、考えてみると、この患者さん小さい頃から虫歯だらけ、、、
これは単に甘いものが大好きで、あまり歯を磨かなかったから虫歯だらけになった訳ではなく、この時点ですでに酷い歯ぎしり食いしばりによって、乳歯はエナメル質に多くのクラックが入り、そこから虫歯菌が深くまで侵入し神経まで達したと考えるべきで、では何故子供なのにそんなに歯ぎしり食いしばりが酷かったのかは、恐らくは姿勢が悪く、鼻と喉の通りが悪くいつも口呼吸、頻繁にかぜをひいたり、アレルギーが出たり、頻繁に中耳炎や蓄膿で耳鼻科や内科を受診していたと思われます。
要するに上顎の発達が正常に成長していないことからこのような症状に繋がります。
このまま上顎の成長が不十分なまま、大人になって行くのですから、大人になってももちろん歯ぎしり食いしばりは、酷いままです。
と言う事は、永久歯も多くのクラックが入り虫歯に侵されていくのです。
やがて、虫歯は神経に到達し神経を取ることになり、差し歯になります。
歯ぎしり食いしばりは残ったままなので、セラミックは破折を繰り返します、金属の歯の場合は歯ぎしり食いしばりの力は歯根にかかり、歯根破折に至ります。さらにそのクラックから細菌が侵入し周囲の骨を溶かし歯茎が腫れて膿がでます。
しらずしらずで、そのまま生活していると、ずっとその膿を飲み続けているので、体の免疫機構に障害が出てきます。。。
のちに、これが引き金となって様々な病気を引き起こします。
歯ぎしり食いしばりによって歯根破折した歯は、抜歯に至り結果、両隣の歯を削りブリッジにするのです。
しかし歯ぎしり食いしばりは酷いままなので、ブリッジを支えている歯は結果的に歯根破折に至ります。
ここまで治療のストーリーが有るだけでも相当歯科医院に通って相当な時間と費用が掛かっています。
現状患者様の生活を考えると、会社に勤めていて多忙なため、そんなに頻繁に通えません。
しかし、この時点で大学の先生や他の開業医の先生方から紹介を受けた歯医者の観点から、しっかり治療をするとなると、状態の良さそうな1本の歯で根っこの治療で最低でも2~3回、土台を立てて被せると、更に1から2回の治療回数がかかります、トータルで3~5回の治療回数が必要です。しかも1回の治療時間は最低1時間から1時間半。
何とか残せても歯のポテンシャルは弱く長期的な予後は望めない歯が殆んどです。。。
抜歯が必要な部位は、歯を抜いてから数か月待たなければ骨が再生されず、インプラントをしようにもできません。このような状況が上下左右、前歯に存在しているのです。
もし前歯を抜歯すれば、仮歯をつけなければなりません、簡単に両隣の歯にボンドで着けただけでは、すぐに取れてしまいます。しっかりするためには、両隣の歯を削ってブリッジタイプにしなければ成りません。
こんな状況で治療を続けていくと恐らくは週に1から2回程度通って頂いても、2年位はかかると思われます。
元々忙しい患者さんなので思うように通えない、、、しかも、もともと状況の悪い歯を残すのですから、予後が悪い歯も出てきます。長期の治療中に折角治療した歯が、歯ぎしり食いしばりによってまた破折、酷いと歯根破折。。。
しかし患者さんは、漠然と状況の悪い歯でも抜きたくないの一点張り、これでは治療は進みません。
こんな感じの複雑なケースは、一回のオペで抜歯とインプラントを同時に行いその日のうちにインプラントの上部の歯も完成させるAll On 4と言う治療法がいいと思います。
All On 4を初めてそろそろ10年が経ちますが、100以上のケースを行い脱落したインプラントはわずかに6本、1症例あたり最低4本、多くても6本のインプラントを用いますが、ざっと数えると500本のインプラントで脱落は6本なので、インプラントの成功率は98.8パーセント、上部の歯は成功率は100パーセント、なぜなら4本中1本が脱落しても、3本のインプラントで上部の歯は支えられるので、100パーセントなのです。
脱落したインプラントは骨が治癒した後にまたインプラントを入れ直しているために、結果的にインプラントも上部の歯も100パーセントの成功率となっています。
全ての患者さんで、今まで何十年も歯科に通い続けていた患者さんは、殆んどの患者さんは今ではメンテナンスに年間2回、もともと歯周病のリスクが高く予後の悪そうな患者で4から6回程度の来院で安定しています。
一時的に掛かる費用は安くはありませんが、今までの繰り返しの治療に掛かる費用と貴重な時間と痛みを計算すると、いかに安いかが分りますね。
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